【鬱展開・CP注意】壊桜/賊折【存在しかけた闇堕ち】
キャラ崩壊も注意です 盗賊君(後の情報提供)盗賊の善意はもう壊れていた。激務による肉体的・精神的疲労、自分の想い人''だった''彼女から語られた腐り切った上層部の有り様。そしてそこに飛び込んで来た後輩の訃報と同期の呪詛師認定の通告。違う世界線ではまだ説得の余地があったかもしれない。だから、これはあり得た可能性の一つの物語。
(俺がやらなきゃ やるんだ そう、これはただのゴミ捨てに行くだけ。ブレるな 問題はない)
(俺はどうしてこんなことをしようとするんだ?あいつらや伝書桜が笑って暮らせる様にするため? いや、違う ただこの世の諸悪と己の嫌悪感を取り除くためか)
(なんなら もう理由なんてないかもな)
盗賊は冷酷で、錯乱状態に近いはずだが、逆に冷静でもあった。奇襲の成功率を上げるために、普段愛用している掲示板への書き込みも普段通りに振る舞い、まずは高専や御三家の呪具庫に持ち前の術式効果【盗賊】で侵入し縄などの呪具をありったけ集め、上層部の居所にさえ忍び込んだ。
(あの世)
少し、あちらでお話ししましょうか
ーー領域展開『盗全与皆』
本来、彼の呪力量は領域を一度展開するのがやっとでその後上層部を1人残らずを術式効果による呪具の操作で絞殺することなど出来ないはず、だった。呪力は、負の感情から練られる。最早墜ちに堕ちてしまった彼の心からは後に現代の異能と呼ばれる術師とも並ぶ程の呪力が一時的に放出されていた。
その結果、盗賊は上層部の皆殺しを単独で成し遂げることに成功した。
この事実が呪術界全体に広まるのもそう遅いことでなく、それは彼の''元''想い人にも例外ではなかった。
自身の持つトラウマを二重に刺激された上、初恋の人の凶行に彼女の心も限界を迎え……………
「だめ!!!!!おいてかないでよ・・・・・・・・・う・・ちをみんな・・・」
「伝書桜 俺はもうお前や皆の所には居られない この感情が何なのかもわからなくなっちゃってるの」
「生き方は決めた 後はどっかに行って適当に暮らす いや、生きててもよく分かんないな 意味とか幸せとか」
「うち…なら紫苑をしあわせにできるよ?・・・・?だいだいだいすきだよ?・・・・」
「そうか、俺も好きだったよ」
彼の言葉は確かに真実だった。しかし、今の彼の背中は愛情も何もかもを知らない。この世という存在さえも達観しきっていた。かつては、あんなにも愛おしく思っていた筈だったのに。
「おいてか・・・・ないでってば!!!!!………」
「はは… 生きるってなんだろな…桜宮」
その後、死刑宣告を受けていた呪詛師、盗賊こと石川紫苑の死体が山奥で発見された。死因は餓死によるものだった。
「紫…苑もきっとこうしてるよね これで、追いつける…!」
同刻、奇しくも、彼女も自死を選んでいた。
実のところ、どちらも彼らの後輩、猫天与に発見されていた。
「コイツら…本当になんなんだよ………」